妊娠中のタバコやお酒は、お腹の赤ちゃんにも悪い影響を与えることは多くの人が知っているでしょう。一方で、妊娠中のタバコやお酒によって、具体的にどのような影響があるのか知らない人もいるのでは?
そこで今回は、妊娠中の喫煙やアルコールが及ぼす影響についてお伝えします。
目次
妊娠が発覚したら喫煙・断酒や飲酒を控えたほうがいい!?
妊娠中の喫煙が及ぼす影響とは!?
「百害あって一利なし」といわれるタバコは、妊娠中には絶対避けたいもののひとつです。
タバコにはニコチンや発がん性物質をはじめとする有害物質を含んでいます。
タバコの含まれている有害物質は、早産の原因となるだけでなく、呼吸器の機能が低下したり、低出生体重児や乳児突然死症候群のリスクを上げたりすることが明らかになっています。
他にも喫煙のリスクはこんなにあります。
- 流産率が2倍になる
- 早産率が1・5倍になる
- 常位胎盤早期剥離(赤ちゃんより先に胎盤が剥がれて危険な状態になる)のリスクが2〜3倍になる(最悪の場合胎児死亡に、あるいは大量出血で母体死亡に)
- 出生時の赤ちゃんが低体重に
- 赤ちゃんの精神発達への悪影響
また、妊婦さんが喫煙していなくても、家族や旦那さんがタバコを吸う場合も注意が必要です。
妊婦さんに気を利かせてベランダや換気扇で吸っていたとしても、十分な受動喫煙の対策となるわけではありません。妊娠中は、本人だけでなく家族間で禁煙に取り組むようにしましょう。
個人だけではなかなか禁煙できないという人は、医療機関の禁煙プログラムを利用の検討をおすすめします。
妊娠中の飲酒が及ぼす影響とは!?
タバコに対して、「百薬の長」といわれるお酒などのアルコール。適量のお酒は、血液の循環がよくなるなど、健康によい効果をもたらすことで知られています。
一方で妊娠中の飲酒は、奇形など胎児の発達に悪影響を与えるため禁酒することがすすめられています。
少量のアルコールならお腹の赤ちゃんに影響は少ないとされているものの、安全性が確立しているわけではありません。生まれた後にも影響を及ぼすとも言われています。
また、お腹が大きくなり、足元が見えづらい、体のバランスが取りにくい状態の妊婦さんが酔っぱらって転倒したら流産や早産になる場合もあります。
アルコールの代謝は遺伝やその日の体調によって異なります。妊娠中でも「ちょっとはいいだろう」と油断してお酒を飲むのではなく、きちんと禁酒するようにしましょう。
妊娠中の喫煙・飲酒で赤ちゃんにどんな影響が!?
喫煙の影響で乳幼児突然死症候群が発症率が○倍も高くなる!?
妊娠中の喫煙はお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼします。
様々な悪影響を及ぼす中で特に大きな影響が懸念されるのは、突然、なんの前触れもなく赤ちゃんが死亡してしまう乳幼児突然死症候群(SIDS)です。
両親がタバコを吸う場合は吸わない場合に比べて赤ちゃんのSIDSの発症率が約4.7倍も高くなるといわれており、タバコは乳幼児突然死症候群の危険因子とされています。
胎盤を通ってアルコールが赤ちゃんに届くとどうなる!?
- 発育の遅れ
- 中枢神経障害
- 容姿への影響
低体重、低身長になる発育の遅れや、発達神経の遅れやADHD、学習・衝動コントロールの障害などの中枢神経障害(子供が大きくなるにつれて症状が出てくる場合も。)
そして全体的に平たい顔つきになる容姿への影響が出る場合があります。
産後の喫煙・飲酒が及ぼす赤ちゃんへの影響とは!?
喫煙直後の授乳は赤ちゃんにどんな悪影響が!?
出産後でも、喫煙直後に授乳をしてしまうと、母乳から赤ちゃんにニコチンが移行してしまいます。
ニコチンが混ざった母乳を飲んだ赤ちゃんは、睡眠時間が短くなり、早く目覚めてしまうそうです。
飲酒直後の授乳は赤ちゃんにどんな影響が!?
出産後でも、授乳がある場合は飲酒は控えるようにしましょう。
内臓や脳の発達が未成熟な赤ちゃんはアルコールの影響を受けやすい状態です。母乳を介して赤ちゃんがアルコールを摂取することにより以下のような症状が出てしまいます。
- 落ち着きがなくなる
- ぐったりする
- 傾眠
- ホルモンバランスが崩れる
また、場合によっては急性アルコール中毒を引き起こしてしまう可能性もあります。
飲酒をした際、母乳のアルコール濃度は、飲酒後30~60分後が最大になると言われています。
もし、どうしてもお酒を飲みたいという場合は、アルコール濃度が高くないものをグラス1杯程度に留め、授乳するまでに2~2時間半以上の時間をあけると影響を少なくすることができると言われています。
飲酒をする場合はあらかじめリスクを知った上で判断するようにしましょう。
妊娠したら禁煙・喫煙に努めましょう
周りに喫煙者がいるときに注意するべきこととは!?
お母さんが喫煙者ではなくても、お父さんや周りの人が喫煙する場合は副流煙に気をつけましょう。
副流煙は中耳炎や喘息、気管支炎の原因になってしまいます。
できればお父さんには禁煙するようにすすめましょう。
副流煙による赤ちゃんへの影響は!?どんなリスクある!?
タバコを吸わなくても、周りの喫煙者のタバコからでるけむり(副流煙)を吸うことには喫煙者と同じリスクがあり、それを受動喫煙といいます。
タバコの煙には70種類もの発がん性物質が含まれているといわれています。
それを赤ちゃんが吸ってしまうことを考えると怖いですよね。
タバコの煙が子どもに与える影響は大きく、副流煙による受動喫煙も妊娠中の喫煙と同様に乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが高くなります。
受動喫煙で子どもの体内に入るニコチンの量は、2~15倍に及ぶとのデータが出ています。(親が全く吸わない場合)
また、タバコによる有害ガス成分は換気扇や空気清浄機では取り除くことができません。ベランダなどの屋外でタバコを吸っても、出入口や窓などから煙が室内に入ってくる場合もあります。
もし、喫煙者に換気扇の下やベランダで吸ってもいい?と聞かれても、不安がある場合は我慢してもらうようにしましょう。
まとめ
妊娠中の喫煙やアルコールは、お腹の赤ちゃんの発育や発達にも影響を与えるものです。
特に、タバコは依存性があるため、いざ禁煙しようと思っても簡単に実行できるものではありませんが、妊娠を機に禁煙に成功する人は非常に多くいます。
妊娠中の禁煙や禁酒は、赤ちゃんを望んでいる時期から始めてみるのもよいでしょう。
執筆:江波明子
国立大学看護学部卒業 看護師と保健師の免許取得後は都内の国立病院、市立病院で看護師として従事し、現在は育児をしながら医療専門記事のライターとして活動中